「市に話したやつは誰だ!」「誓約書をかけ!」 虐待を隠蔽する保育園の実態とは?

虐待は日常的に保育士によって目撃されています。なぜ、すぐに対処できないのでしょうか? ほとんど報道されていませんが、実は、発覚が意図的に「阻止」されていることがほとんどなのです。
今野晴貴 2023.03.25
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隠蔽が相次ぐ中、保育園は調査に正直に回答するのか?

 昨年、静岡県裾野市で起きた事件を受けて、保育園における園児への虐待や不適切保育が、これまで以上に注目されるようになっている。全国でも同様の事件が立て続けに報道されている。とはいえ、明るみになった被害は実態のうちの、ほんの一握りだろう。

 厚労省も2022年12月末から、保育園における虐待の実態調査に乗り出している。しかし、この調査には「限界」がある。というのも、調査対象を監督者の「自治体」と、運営者である「保育施設」のみに限っているのだ。

 なぜ、このことが問題なのだろうか。じつは、裾野市の保育園をはじめ、相次いで報道された虐待事件の多くにおいて、経営者や園長の「隠蔽」や「圧力」によって、職員からの通報が「妨害」された形跡がうかがえるからだ。そのような保育園が国から調査を受けたとして、ありのままの実態を回答するだろうか。

 そもそも、虐待をめぐる議論が高まる中でも、経営者や園長による隠蔽をいかに防ぐかという論点は、さほど注目されているようには見えない。結論を先取りすれば、実態が判明した事例のほとんどは保育士自身や第三者からの告発によるものなのだ。

 そこで本記事では、昨年末に報道されている複数の事例を振り返り、保育園における虐待通報に関する隠蔽や忖度について検証してみたい。そのうえで、労働組合「介護・保育ユニオン」が先週開始したばかりの、保育園の職員を対象とした保育園虐待の調査の回答結果の一部を紹介し、虐待の通報が阻まれてしまう具体的な実態を明らかにしていきたい。

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続きは、3819文字あります。
  • 「市に話したやつは誰だ。命令を聞かないやつは、うちの園から出す」
  • 「声に出せない雰囲気があった」…萎縮と忖度の現実
  • 虐待を相談した職員の50%が「何も起きなかった」と回答

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